WWつらゆきのつらつらぐさWW

                                       女もすなる、映画日記といふものを、                  つらゆきもしてみむとて、するなり

「三里塚 第二砦の人々」「なみのこえ」をジャカルタで観た!①

 

f:id:tm2013:20140914192215j:plain

昨年度から開催しているArkipelという

ジャカルタのドキュメンタリー映画祭。

短編長編を問わず集めて上映していて、

インドネシアのみならず、

アジア各地やヨーロッパ、

南米などからも出品されている。

 

開催地は、

メンテンのチキニ駅から歩いて15分くらいにある

ジャカルタ唯一らしい、文化複合施設

Taman Ismail Marzuki(TIM)。

 

ここは、cinema21や音楽ホール、プラネタリウム、ギャラリーなどもあり

週末は家族連れやカップルで結構混んでいる。

 

で、cinema21の角の奥にひっそりとあるのが、

kine forumという、ミニシアター。

 

メンテンにはもう一つ、

goeth instituteというドイツの施設があって、

映画を上映していたり、音楽のワークショップをしていたりする所があって

Arkipelの催事もあったみたい。

 

場所の説明が長くなったけど、

今回のArkipelは、国際交流基金ジャパンファウンデーション)も

後援していて、

今回は、山形国際ドキュメンタリー映画祭関連の作品を

ジャカルタで上映するのを仲立ち、

映画祭運営全体を助成していたらしい。

いい仕事してる!

 

さてワタクシはというと

まさかまさかインドネシアで、あの、

日本のドキュメンタリー映画の父、小川紳介の『三里塚』シリーズ

が上映され、しかもそれに立ち会えるとは夢にも思ってもいなかったので、

昼上映が主なスケジュールだったので

残念ながら1本しか観られなかったけれど、

それでもこの乾季で乾いた心に土砂降りの雨を降らせてくれるような時間でした。

 

三里塚シリーズとは、

成田空港建設に反対する地元住民らによる三里塚闘争成田闘争)を

長年に渡り撮った記録映画であり、

この闘争を語るうえで極めて重要な役割を果たした映画だと言われている。

 

大分前に日本で観た同シリーズの『辺田部落』は

住民同士が民家で話し合う時の顔のアップがとても印象的だったのだけれど、

『第二砦の人々』は、機動隊の長い隊列が向かってきて、

フレームの外に出たと思ったら、次の瞬間、

カメラにぶつかりそうな距離を同じ機動隊の「足」だけが

ザッザッザと行進していく、

というようなカメラワークが多用されていて、

その迫力にびーっくりしました。

そのドキドキハラハラ感はアクション映画みたい!

CGとか、細かくカットしてつなげたりとかに頼ることで

映画のアクション性が上がると思ったら大間違いだということを

確信しました。

 

f:id:tm2013:20140914192637p:plain

               『三里塚 第二砦の人々』

 

真冬の寒さの中、霧が立ち込めて、敵と対峙する。

荒涼とした風景。息をのむような緊張感。

 

 

 三里塚闘争全学連の支援(介入)もあり、その後更に先鋭化し、

死者やけが人を出しながらも、

結局は成田空港は出来上がったわけで、

その歴史を知ることって大事だ。

 

以前イスラエルエルサレムで、

ヤド・バシェムというユダヤ人虐殺の資料館というか

祈念館というか博物館に行ったことがあるのだけど、

その内容の充実度、展示の見やすさ、気持ちの込もりよう、

さらには建物のスタイリッシュさなど、

とにかく物凄く感動して感心して、

「なんて素晴らしく洗練された博物館なんだ~」と言ってたら、

現地に住んでいて、そこができるまでのいきさつを知る人から、

「でもあそこは、あれが建設される以前はパレスチナ人の集落があって、

それを全部取り壊して出来上がったんだよ」と教えられて

複雑な思いになったことを思い出した。

その人たちは、どんなに悲しく悔しい思いをして、その土地を去り、

今はどうしているのだろう。

 

②に続く