ジャカルタに集いし映画の亡霊たち
インドネシア発展の要といえるタンジュン・プリオク港から
トランスジャカルタですぐのコジャ・プルマイ停留所前の
プラザ・コジャの5階にある「Bioskop Koja」
ほんとに営業しているなんて到底思えないその映画館。
チケット売り場も映画館の中も、オンボロで
空調、防音なんてないようなものだけど、
ちゃんと映画がかかっていた。
今日のラインナップは
Pocong mandi goyang pinggul(オバケ・水浴・ぐらぐらする・お尻)
えー、私のインドネシア語力では文章にするのがはばかられるのですが
推測は簡単にできますよね。
一応怖くてちょいエロくて(イスラムが強いの国なのでほんとにちょい)
バカバカしい、最高のZ級映画です。
インドネシアは低予算ホラー映画が星の数ほどあって、
その一つと言えるのでは。
前にDVDで観たのもそんな感じでした。
フィルムなので中間で一旦止まって、がっちゃんがっちゃんした後、再開。
音楽は適当な音源からとってつけた感満々、
なぜかアメリカポルノ界の元女王にして革命児、サーシャ・グレイが出演!(予算の都合上スカイプ出演!笑)
サーシャ・グレイ出すあたりがインドネシアのポルノの流通の感じがなんとなくわかるようなわからないような。
この、来るものを拒むような誘うような鉄の扉とビリビリのカーテンなんて
たまりませんね。
映画でしか見たことなかったよ!こんなホラーな扉!!
「金だせ!(約70円)」とばかりに内側からガンガン鳴らす指先以外シャットダウンのチケット売り場も演出の一部としか思えない。
ロッキーホラーショーも真っ青だね!
一本観終わって、一緒に観ていたおじさんと立ち上がろうとしたら、
後方で観ていたもう一人のおじさん(観客は計3名)から
「もう一本あるから座って待ってろ」と言われ、
「二本立てか~粋だねぇ!」と心の中でつぶやきつつ待つこと10分。
始まらないので外に出て、館長らしき、これまたおじさんに、
「もう一本って何上映するの?」と聞いたら、
「これ」とさっき観た映画のポスターを指さされた。
へ?
二回観れるってことですね~
その時頭の中で思ったこと。
1.先に2本目何を上映するか聞かなかった私のミス
2.いやしかし先に言ってよ~
3.まあ同じのでも違うのでもいいか。時間あったら観てこ。
選択の結果、3を採用し、本日は時間がなかったので、
おじさん×3に礼を言って映画館を出ることに。
帰り際、おじさんたちが「今日は3人だったな~がはは」とか話しているのを聞いて
映画ファンとしてとても素敵なものをもらったような気がした。
こんな映画館がこれからも細々とでも続いて、
また今度来たときにも「今日は誰もいなから閉めちゃったぜ」とか言われても
やっていけているのなら、全然許す。
安く上映できる映画ばかりでも、
かけようとするその心意気が、お金の無い映画製作者の味方になっているはず。
何よりも、映画を最高に楽しく観られる環境じゃないの!
いつか、この港の近くの映画館で、
インドネシアのホラー映画を一挙に上映する映画祭みたいなものが
できたらいいなぁ。
そう思って、映画館の格子の窓から外を眺めたら、胸が熱くなった。
もう雨が降り始めていた。