アルジュナは愛をもとめる-インドネシアンポップ小説ー
(この表紙、姉のあんずっ子に似てる)
1977年インドネシアで出版されて、
無軌道なジャカルタの金持ち子息の生態をリアルに文章化して話題となった小説。
車乗り回すわ、パーティー三昧だわって、
まるでビバヒル青春白書!
とにかく主人公のアルジュナ(イケメンボンボンの男子高生。言い方が古いね!)が
最悪すぎてイライラするんだけど、
やがて来る天罰に期待が高まり過ぎて一気読み。
「イモいプレイボーイ」「トラと石の間にできたナメクジ娘」「ローストチキンになったお月さま」「あたしの靴墨」「ほんと、この鼻クソみたい!」
美辞麗句も罵詈雑言も、バラエティに富んでいて面白い。勉強になる。
非情で馬鹿で単純で脳みそ恋愛のことしかない奴らが、
騒ぎ立てるばっかりの狂想曲。
あっという間にアルジュナは、インスタントな地獄に落ちる。
悪魔のような魅了を放つアルジュナも、しょせん人の子だった。
あわれなアルジュナにもっとひどい仕打ちを!
と思ったら今作はアルジュナ3部作の第1部らしく
最後は大団円らしい。
くやしいような、
ちょっとホッとするような。
<追記>
でもまてよ。
アルジュナみたいな「最悪」な恋愛観って、当たり前か。
「この人いいな」って思った人に自分的がっかりポイントを見つけてしまって
急速に冷めていくことってよくあることだし、
最初の思いがアルジュナのように強烈(情熱的)であればあるほど、
そして長ければ長いほど、
瞬間的に冷却されてしまい、冷めるどころか氷点下にまで下がりきるわけで。
いつの世も、どこの社会も、どこの文化も
この気持ちの揺れ動きって変わらないのかも。
そんなことを学んだトークインドライブ。